節分の鬼の正体~なぜ豆で鬼を払うのか~

節分の鬼の正体~なぜ豆で鬼を払うのか~

2021年は124年ぶり2月2日の節分

節分といえば2月3日というイメージがありますが、今年2021年の節分は2月2日です。
例年より1日早い節分ですね。
え、節分って固定じゃなかったの? と疑問に思った人も多いのではないでしょうか。

節分は立春の前日です。
立春とは2月4日だと思われていますが、2月4日に固定されているわけではありません。3日や5日が立春の日になることもあります。

出典:jalan.net

現在わたしたちが使っている暦では、地球が太陽を1周するのにかかる時間を1年と定めています。1年は365日ですね。
しかし地球が太陽を1周するのにかかる期間は正確には「365日と5時間48分46秒」です。
つまり1年で約6時間のずれが生じてくるわけです。このままほうっておくと、暦の上では真冬の12月なのに季節は夏になったりしてしまう。このずれを調整するために、うるう年が設けられているのです。
このずれの影響で、立春の日も微妙に前後するわけです。

とはいえ立春の日は、この36年間ずっと2月4日でした。
長い間2月4日が続いたので、すっかり立春=2月4日、節分=2月3日というイメージが定着していたのですね。
それが今年2021年は立春が1日ずれて2月3日になったのです。
立春が2月3日、節分が2月2日になるのは、1897年以来なんと124年ぶりのことです。

節分は大晦日だった

もともと節分は立春の前日限定の日というわけではありませんでした。
春夏秋冬の季節が変わる日(立春、立夏、立秋、立冬)がありますが、それぞれの前日が節分だったのです。
でも、立春以外の節分は現在にいたるまでに、なぜすたれてしまったのでしょうか。

立春は旧暦で新年初めの日、つまり元日でした。
このため、立春の前の節分は大晦日となります。他の節分よりも重要視され、つかわれる暦が太陽暦に変わっても年中行事として現在まで残ることになったのです。

節分の鬼とは何者なのか

節分には「鬼」がいなくてははじまりません。
豆を鬼にぶつけて、その鬼を追い払うのが節分の行事なのですから。

そもそもこの鬼は何者なのでしょうか。

鬼といえば、虎柄のパンツに頭には角が生えていて……というのが一般的なイメージですね。
鬼のイメージは古代中国でうまれた陰陽五行思想、日本では陰陽道、さらに仏教思想などがあわさってできたものです。
鬼は北東の方角、十二支で表わすと丑寅の方角から来るものと考えられていました。
丑寅の方角だから、「牛の角に、虎柄のパンツ」というイメージがかたち作られていったのだと考えられています。

 

出典:one fine day

 

そもそも古代日本では、オニは隠(オヌ)とか陰(オン)などと呼ばれていました。
「人間の目に見えない存在」というような意味です。

このオヌやオンがやがてオニという言葉に変化し、さらに「鬼」という字が当てられるようになりました。
中国語で鬼(キ)は、死者の霊魂・幽霊を意味する言葉でした。それが日本に輸入されて、オニを表わす漢字として使われるようになったのです。

また、中国発祥の陰陽五行思想では、「季節の変わり目」には邪気が生じると考えられていました。
新しい季節が始まる日(立春・立夏・立秋・立冬)の前日、つまり節分の日には、この邪気を払う儀式が宮中で行われるようになりました。
これがいわゆる節分の始まりで、当時この儀式を「追儺(ついな)」とよんでいました。

吉田神社での「追儺」の様子

追儺は古代の日本にも渡ってきました。
勅撰史書である『続日本紀』によると、706年つまり飛鳥時代末期には追儺の儀式が行われていたようです。
飛鳥時代末期は、全国各地で疫病が流行した時代でした。
古代では、疫病や災害など人に害悪をもたらすものはオニが運んでくると考えられていました。

そうなんです。
いにしえ人が節分に追い払っていた「鬼」の正体は、「疫病」のことだったのです。
古代の節分は、疫病を運んでくる疫鬼を追い払い、新しい季節を幸せに過ごせるように願う儀式でした。

もともと節分は宮中の年中行事でしたが、江戸時代になると一般庶民の間にも広まっていきます。
平安時代には仏教思想とも結びつき、鬼の正体は「疫病」だけでなく、「鬼が巣食い人を堕落させる煩悩」というような意味あいも持つようになりました。仏教的には、「鬼が巣食った心は災いをもたらす」と考えられていたのです。仏教思想と合体することで節分の行事は、お寺で催されることが多くなりました。
江戸時代には民間の習俗ともあわさって、「鬼は外、福は内」と豆をまく現在の形のように一般庶民にも広まっていったのです。

豆に秘められた鬼を倒す力

節分に豆をまくのは、豆のような穀物には生命力が宿っており、魔除けの力、邪気を払うパワーが備わっていると考えられていたからです。
また魔を滅する「魔滅(まめ)」という語呂合わせに由来するとも考えられています。


陰陽五行説の「木・火・土・金・水」の要素分類だと、豆も鬼も「金」にあたり、豆を火で炒ることで、「火」は「金」に勝てるから鬼にも勝てるようになる、という説。
さらに、節分の豆は炒り豆を使いますが、豆を「炒る」=「射る」に通じるということで、鬼を射る力を備える、という説もあります。

「新しい季節」を健康で幸せに過ごせるように

日本の文献にのこる最初の節分は、飛鳥時代末期、全国に蔓延した疫病を払うためのものでした。
当時と同じように、現在も新型コロナウイルス感染症が世界に蔓延し猛威をふるっています。
コロナ禍のせいで、例年のような大きな節分の豆まき行事は中止になってしまいました。しかし節分の行事が絶えたわけではありません。寺社でも規模を縮小して関係者のみで行事を催したり、家庭内でこじんまりと豆まきが行われたりしていることでしょう。

2021年の節分は、古代の人々と同じく、疫病を払うための節分になったのではないでしょうか。
新しい春の季節を健康で幸せに過ごせますように、そんな思いが日本中にあふれているはずです。
節分行事をしている人々の願いが通じ、新型コロナウイルスという疫鬼が払われますように――
一日でもはやく新型コロナウイルス感染症が収束するよう願ってやみません。

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